八丈ぐらし

黄八丈を知る — 島に受け継がれる草木染めの絹織物

八丈ぐらし編集部

黄八丈を知る — 島に受け継がれる草木染めの絹織物

「黄八丈(きはちじょう)」は、八丈島に古くから伝わる草木染めの絹織物です。島に自生する植物で染め上げた、黄・樺(かば/茶)・黒の三色を基調とし、格子や縞に織り上げられます。およそ300年の歴史をもち、国の伝統的工芸品にも指定されている、島を代表する織物です。

三色はすべて島の自然から生まれます。鮮やかな黄色は八丈刈安(コブナグサ)、深みのある樺色はマダミ(タブノキ)の樹皮、そして黒はスダジイの樹皮で染めたのち、泥に浸す「泥染め」で得られます。榊や椿を焼いた灰の灰汁(あく)で媒染することで、化学染料にはない奥行きのある色が生まれ、時を経ても色あせにくい堅牢さが特徴です。染めと織りの一つひとつに熟練の手仕事が息づいています。

江戸時代には、黄八丈は年貢の代わりに幕府へ納める貢納布とされ、その気品ある色合いは広く知られていました。かつては島の女性たちが自ら織り、嫁入り道具にもされたといい、生活とともにあった織物が、いまも受け継がれ、着物や帯として大切に仕立てられています。

島内には黄八丈の織元や民芸店、ギャラリーがあり、要予約で工房や染織の工程を見学できるところ、実際に機(はた)を織る体験ができるところもあります。染色シーズン(おおむね秋)には、釜場での染めの様子が見られることも。小さな黄八丈を自分の手で織り上げる時間は、旅の忘れられない思い出になるはずです。

着物や帯は特別なものですが、名刺入れやがま口、アクセサリーといった手に取りやすい小物も豊富にそろいます。島の自然が生んだ色を、暮らしのなかに一つ取り入れてみてはいかがでしょう。